明治39年(1906)、日本の植物分類学の草分け牧野富太郎博士は、日本固有の藤は右巻きと左巻きの二種類があることから、総称としての藤と区別するため、つるが右巻きの藤(これは一般に花房が長く優雅な雰囲気がある)を「ノダフジ」または「フジ」と名付け、左巻きの藤(一般に花房が短くずんぐりとしている)を「ヤマフジ」または「ノフジ」と名付けた。同博士が日本のフジの標準和名をノダフジと決めた理由は、博士が住んでいた関東地方では、花房が長い藤を一般的に「野田藤」と呼んでいたため、ごく自然にそう名付けられたようである。後年になって、牧野植物図鑑では「フジ」又は「ノダフジ」と、順序を入れ替えている。

昭和8年頃、現在の春日神社周辺に調査に来られた牧野富太郎博士
昭和8年頃、現在の春日神社周辺に調査に来られた牧野富太郎博士